発行日 : 2008年10月16日

酸性度が高いのは都市部だけでなく、風が集まる所

~ 一年で最も雨の多い季節に4000人と共に測った『全国酸性雨調査』の結果発表 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、梅雨シーズンの6月から一般の方と共に酸性雨の実態を調査した『酸性雨調査』に関する結果をまとめ、発表しました。『酸性雨調査』は、一般の方の協力をもとに雨量などを感測する「雨プロジェクト」の一環として実施し、雨の降り始めなどにpH試験紙を使って酸性度の感測を行いました。この取り組みは今年で4年目となり、今年は“ゲリラ雷雨”と“秋雨前線”をテーマに調査を行い、通常酸性度が低いエリアでも、風向きと風の強さによって酸性度が高まる可能性があることが今回判明しました。

全国で3回実施した調査における酸性度の平均分布図

【酸性雨調査について】

『酸性雨調査』は、酸性雨の実態調査を一般の協力のもと行う取り組みです。参加者は、ウェザーニューズから“ミッション”として携帯メールが届いたタイミングで各自感測を実施します。今年は、この取り組みに、全国4,000名もの方が参加し、ウェザーニューズでは、全国から寄せられた調査結果をもとに解析を行いました。

【酸性雨調査結果】

〜風が集まる所ほど酸性度が高い〜 4年目となる今年の『酸性雨調査』では、「ゲリラ雷雨」と秋雨前線が降らせる「シトシト雨」の2種類の雨で酸性雨を調べました。調査の結果、酸性雨は風向きと風の強さにより酸性度に違いが出ることが分かり、それらは「風下効果」と「弱風効果」の2つに分類されることが判明しました。

風下効果

陸地から風が吹いている時は酸性度が高く、海からの風が吹くと酸性度が低いことが分かりました。これは、空気中に漂う酸性雨の原因物質が、陸地から風にのって運ばれてくるためです。逆に、海からの風が吹くと原因物質が運ばれることがなく、降る雨は酸性雨の可能性が低くなります。

弱風効果

風が弱い時、逆転層と呼ばれる空気の蓋が出来やすく、酸性雨の原因物質は上空に広がっていくことなく、地上付近に留まります。この状態で雨が降ると酸性度が高くなる可能性あります。

ゲリラ雷雨と風

〜風の状況により、酸性度の高い雨が特定の都市に集中して降ることも〜

ゲリラ雷雨は狭い範囲に短い時間で雨を降らせます。そのため、雨雲が出来る場所によって酸性度が変わります。酸性雨の物質が多い都会では酸性雨の可能性が高く、反対に、山周辺ではその可能性は低くなります。ただ、例外的に、雨雲の動きと風の状況により、酸性度は変わってきます。9月6日、大阪は海風で京都に風が集まっていました。そのため、大阪都市部にあった酸性雨の原因物質は内陸に流され、その時、近畿において雷雨による降雨があったため、大阪での酸性度は低く、京都で酸性度は高いという結果になりました。

前線の雨と風

〜前線が直接通過する都市が酸性度の高い場所に〜

前線は異なる方向からの風がぶつかる場所であるため、雨雲と風向きの関係性は強く、特に活発な雨雲が発生する場合は、酸性度が高まります。9月21日は、西風と東風のぶつかる場所が前線と共に東に進み、前線が通過した広島県の広島市、福山市、岡山県の岡山市、香川県の高松市で高い酸性度の雨が降りました。


ウェザーニューズでは、花粉・桜・梅雨など季節を通し、気象に関する様々な事象を利用者とともに感測しています。ウェザーニューズでは、今後も、様々な事象を利用者と共に展開していく予定です。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。