発行日 : 2008年12月17日

来春の花粉飛散傾向発表

来春の花粉は、前年より「量は多い」エリアが多く「時期は同じか遅め」

~ 全国の会員からの雄花リポートで、全国12エリアごとの傾向も発表 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、2009年の花粉シーズンにおける全国および、各エリアの“スギ花粉”傾向を、本日12月17日(水)に発表しました。本発表は、花粉s症に悩む方に、シーズンの花粉傾向を知ってもらい早めの対策を取ってもらうことを目的に行います。

【来春の飛散量の傾向】

スギ花粉の雄花は、前年の夏の日照時間が長く、気温が高いと多く作られ、気温が低いと少なくなります。2008年の6月は西~東日本では梅雨前線の影響で、曇りや雨の日が多かったものの、7月~8月は高気圧に覆われて晴れる日が多くなりました。ただゲリラ雷雨に代表されるように、局地的な強雨が特徴的な夏でした。北日本は、6月は晴れる日が多かったですが、7月~8月は前線の影響を受け、曇りや雨の日が多くなりました。8月下旬には、前線の影響もあり、全国的に低温と大雨になりました。花粉のもととなる雄花の生産量は、一般的に7月の日照時間・気温・降水量をもとに予想しますが、最近の調査では6月~9月の天候との相関が高いことがわかってきています。そのため、ウェザーニューズでは6月~9月の日照時間・最高気温・降水量を気象の基礎データとして傾向を発表しています。その中でも日照時間は雄花生産量と関係が深いことがわかっていますが、これは光合成によって生産量が多くなるためだと思われます。また雄花の生産量と気象要素(日照時間・最高気温・降水量)、更に雄花の生産時期の関係は地域によって違いがあると考えられます。よって来春の飛散量は、昨シーズン同様、標高・地域差が比較的少ない日照時間に注目し、次に最高気温・降水量を重視して予測を立てています。また、多く飛散した翌年は飛散が少なくなったり(裏年)、少ない年の翌年は多くなったり(表年)と交互に増減する傾向があります。更に、実際に雄花を観察していただいているウェザーリポーターの報告によると、雄花がしっかり成長しているリポートが数多く届いています。これらを総合的に考慮して、西~東日本では、昨シーズンと同等か上回るほどの飛散になるところが多いと予想しています。また、北日本では昨シーズンと比較して、少ないところが多くなりそうです。


□花粉の飛散開始予想マップの大きいサイズはこちら

【来春の飛散時期傾向】

今年は断続的に流れ込んできている寒気の影響によりスギの雄花の休眠は十分に行われると考えられます。また1月~2月は寒気の影響で冬らしい寒さとなりますが、2月の終わりには次第にそのピークは過ぎていきそうです。3月に入ると一気に春めいて西~東日本では花粉飛散のピークに突入すると思われます。よって来春の花粉飛散の開始時期は、早く飛散開始した昨シーズンと比較すると、同等かやや遅いくらいの飛散になるところが多くなりそうです。

【全国各地の雄花の状態 】

携帯サイト「ウェザーニュース」には、「サポーター」と呼ばれる有料会員が160万人がおり、サポーターからは天気などに関する様々なリポートが日々寄せられています。下記の写真は、サポーターから寄せられた全国の『雄花リポート』で、これらの情報は、きめ細かい貴重な実況値として、飛散予測などに役立てられています。

12月14日岩手県花巻市

12月13日群馬県安中市

12月13日埼玉県東松山市

12月14日福井県福井市

12月13日
静岡県御殿場市

12月14日
奈良県吉野郡

12月13日
広島県安芸高田市

12月14日
福岡県八女郡

 

各エリアの傾向

エリア

花粉量(前年比)

飛散時期(前年比)

 

北海道

(シラカバ花粉)

少ない
(2005年からの5年間で2番目に少ない)

並~やや遅め

北海道の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で、昨年(2007年)に次いで2番目に長くなりました。また気温は2004年からの5年間で2番目に低く、降水量は最も少なくなりました。5年間の中では、雄花を成長させるコンディションとして良い方と言えますが、昨シーズン(2008年)がかなり多く飛散したため、昨シーズンと比較すると今シーズン(2009年)は少ない飛散になりそうです。また、2007年のシーズンと夏(2006年の夏)の傾向が似ており、比較すると若干今シーズンの方が日照時間は長く、やや多く飛散する可能性があります。2005年以降、2007年が最も飛散が少なかったため、今シーズンは2005年からの5年間で2番目に少なくなりそうです。シラカバの飛散開始は、3月の気温に大きく影響されると考えられます。飛散開始は昨年並みかやや遅く、4月中旬~下旬くらいになりそうです。

 

東北北部

少ない
(2005年からの5年間で3番目に多い)

並~やや遅め

東北北部の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で3番目に長くなりました。また気温は2004年からの5年間で最も低く、降水量は最も多くなりました。雄花の成長にとってコンディションは悪く、昨シーズン(2008年)よりは飛散量が少なくなりそうです。昨シーズンに次いで多い飛散となった2007年と比較すると、今シーズン(2009年)の方が前年夏の日照時間が長く、2005年からの5年間では2005年、2008年についで3番目に多い飛散量となりそうです。飛散開始は昨年並みかやや遅く、3月上旬~中旬くらいになりそうです。

 

東北南部

少ない
(2005年からの5年間で3番目に多い)

並~やや遅め

東北南部の今年の夏の最高気温、日照時間は2004年からの5年間で2番目に低い値になりました。降水量は2番目に多くなりました。雄花の成長にとってコンディションは悪く、昨シーズン(2008年)より飛散量は少なくなりそうです。昨シーズンに次いで多い飛散となった2007年と比較すると、今シーズン(2009年)の方が前年夏の日照時間が長く、2005年からの5年間では2005年、2008年についで3番目に多い飛散量となりそうです。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月下旬~3月上旬くらいになりそうです。

関東

並~やや多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

関東の今年の夏の最高気温、日照時間は2004年からの5年間で2番目に低い値になりました。降水量は2番目に多く、雄花の成長にとって一見コンディションは良くはありませんが、2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。総合的に判断すると、2007年の夏(2008年の飛散に影響)よりもコンディションは悪いながらも、昨シーズン(2008年)と同等かそれ以上に飛散する可能性があります。2005年以降、極端に多く飛散した2005年に次いで2番目の飛散量となる予想です。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月中旬くらいになりそうです。

 

北陸・甲信北部

(甲信北部は長野県北中部)

多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

北陸・甲信北部の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で3番目に長く、最高気温は2番目に低くなりました。また、今年の夏はかなりの少雨となり、降水量は2004年からの5年間で最も少なくなりました。2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。最も近い表年である2007年のシーズンと比較すると、雄花の成長にとって前年夏のコンディションは良いようです。総合的に判断すると、昨シーズン(2008年)より多く、2005年からの5年間の中では2番目に多く飛散する可能性があります。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月下旬くらいになりそうです。

 

東海・甲信南部

(甲信南部は長野県南部と山梨県全域)

並~やや多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

東海・甲信南部の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で3番目に長く、最高気温は2番目に高くなりました。ただ、降水量は2004年からの5年間で最も多くなりました。2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。総合的に判断すると、2007年の夏(2008年の飛散に影響)よりコンディションは悪いながらも、昨シーズン(2008年)と同等かそれ以上に飛散する可能性があります。2005年以降、極端に多く飛散した2005年に次いで2番目の飛散量となる予想です。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月中旬くらいになりそうです。

 

近畿

多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

近畿の今年の夏の最高気温、日照時間は2004年からの5年間で2番目に低い値になりました。降水量は2番目に多く、雄花の成長にとって一見コンディションは良くはありませんが、2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。最も近い表年である2007年は昨シーズン(2008年)よりも飛散は多く、その2007年の前年の夏と今年の夏のコンディションは良いようです。総合的に判断すると、2005年のように極端に多くはありませんが、昨シーズンよりは多く飛散すると予想され、2005年からの5年間では2番目に多くなりそうです。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月中旬くらいになりそうです。

 

山陰

並~やや多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

山陰の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で2番目に短く、最高気温は3番目に高くなりました。そして2008年の夏は、かなりの少雨となり、降水量は2004年からの5年間で最も少なくなりました。また2007年の夏(2008年の飛散に影響)と日照時間、最高気温に大差はなく、降水量は極端に少なくなっています。総合的に判断すると、昨シーズン並~やや多い飛散となり、2005年以降、極端に多く飛散した2005年についで2番目の多さになりそうです。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月下旬くらいになりそうです。

 

山陽

多い
(2005年からの5年間で2番目に多い)

並~やや遅め

山陽の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で2番目に短く、最高気温は2番目に高くなりました。そして2008年の夏はかなりの少雨となり、降水量は2004年からの5年間で2番目に少なくなりました。2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。最も近い表年である2007年のシーズンと比較すると、雄花の成長にとって夏(前年の夏)のコンディションは良いようです。総合的に判断すると、昨シーズン(2008年)より多く、2005年以降、2番目に多く飛散する可能性があります。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月中旬くらいになりそうです。

 

四国

多い
(2005年からの5年間で3番目に多い)

並~やや遅め

四国の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で2番目に短く、最高気温は3番目に高くなりました。そして2008年の夏はかなりの少雨となり、降水量は2004年からの5年間で最も少なくなりました。2005年の大量飛散年から換算すると、今シーズン(2009年)は表年となります。最も近い表年である2007年のシーズンと比較すると、夏(前年の夏)のコンディションは良いようです。また、2006年には裏年にも関わらず、2005年夏(2006年の飛散に影響)の日照時間が長かった分だけ、飛散量がかなり多くなった所があります。総合的に判断すると、昨シーズン(2008年)より多く、2005年以降、2005年、2006年に次いで3番目に多く飛散する可能性があります。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月上旬くらいになりそうです。

 

九州北部

少ない
(2005年からの5年間で最も少ない)

並~やや遅め

九州北部の今年の夏の日照時間は2004年からの5年間で最も短く、最高気温は2番目に低くなりました。そして降水量は2004年からの5年間で2番目に多くなりました。雄花の成長にとってコンディションは悪く、今シーズン(2009年)は表年であることを加味しても、昨シーズン(2008年)よりは飛散量が少なくなりそうです。また、2005年以降、最も少ない飛散だった2007年のシーズンと比較しても夏の(前年の夏)日照時間が短く、2005年以降、最も少ない飛散となる予想です。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月上旬くらいになりそうです。

 

九州南部

並~やや多い
(2005年からの5年間で最も多い)

並~やや遅め

九州南部の今年の夏の日照時間は、2004年からの5年間で2番目に短く、最高気温は最も低くなりました。また、降水量は2004年からの5年間で2番目に多くなりました。雄花の成長にとってコンディションは良くはありません。同じようにコンディションの良くなかった2006年の夏は、日照時間が最も短かったものの、翌年の2007年のシーズンが表年ということもあり、やや飛散数は多くなりました。最も近い表年である2007年と比較すると、今シーズン(2009年)の方が、夏の(前年の夏)日照時間は長く、総合的に判断すると昨シーズン(2008年)と同等かやや多く飛散し、2005年以降最も多く飛散する可能性があります。ただ、今年はゲリラ雷雨に代表されるように、不安定な天気が多く、花粉の雄花の成長にもムラが生じているようです。局地的には予想を更に上回る飛散になる可能性もあり、油断は出来ません。飛散開始は昨年並みかやや遅く、2月上旬くらいになりそうです。

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