株式会社ウェザーニューズ（所在地：東京都港区、代表取締役社長：草開千仁）は、本日、来たる桜シーズンに向けて、各都道府県における桜の名所600箇所の開花予測傾向を発表いたしました。本発表は、見頃が短い桜の開花時期を事前に知ってもらうことで、“日本の桜”を楽しんでもらうことを目的としており、事前に開花情報を活用してもらうために、“開花傾向”として発表しています。開花傾向にあたっては、過去5年間の一般の方から寄せられた桜の開花状況に関する膨大なリポートと、今後の気象状況の予測をもとに算出しているもので、今後、全国の参加者から寄せられる観察リポートを取り入れた“開花予測”は3月2日に一斉発表する予定です。

【2009年の桜開花傾向 (2月16日現在)】

～桜開花の時期～

近年、桜の開花は早くなっています。過去30年間の平均と5年間の平均を比べてみても全国的に早い傾向で、特に都心部でこの傾向が大きく、関東地方ではここ5年のうち30年間の平均より遅く咲いたことはわずか1年しかありません。今年の桜の開花は、過去5年の平均と比べると西日本や東日本で3日程早く、特に関東、東海地方で早くなっています。北日本は記録的に開花が早かった去年に比べると遅いですが、過去5年の平均と比べると3日程早い傾向になっています。 今年のソメイヨシノの最も早い桜の開花は東京、神奈川、高知、福岡、熊本で、3月20日頃を予想しています。

～桜開花の時期に関わる気温傾向～

桜の開花には、前年の気温傾向が大きく関わります。桜が順調に開花する条件は、前年の秋から冬にかけて十分に冷え込むこと、そして2月後半以降の暖かさが増してくることです。秋から冬にかけての冷え込みは「休眠打破」のために必要なものです。去年の11月から1月にかけて、気温は北日本を中心に高めだったものの年末年始から１月中旬にかけては何度か強い寒波が襲来し、冬型の気圧配置が続きました。また開花を促す3月ですが、今のところ、今年は平年並～高めとなる予想です。今月に入ってからすでに暖かい陽気が続いており、例年よりも春の訪れは全般に早く感じられ、桜の生長を促す陽気が現れやすくなります。

【2009年の各エリアの傾向と各都道府県の桜予測】

各県の予測地点は、気象庁等他機関が予測する地点と異なる場合があります。また、昨年および5年平均開花日は、一部を除き各地点への当社独自調査によるものです。

【桜の開花予測について】

当社では、今シーズンの桜（ソメイヨシノ）の開花予測にあたり、下記の4つ視点で独自に分析し、予測を行っています。今回の予測では、一般の方と共に全国各地の桜開花を追う「さくらプロジェクト」により、リポートされた過去5年間の桜に関する情報を、分析することで更なる予測に活用します。

(1) サポーターリポートの分析

当社では、桜が“つぼみ”の段階から“開花”を経て“葉桜”になるまでの過程を、全国各地の一般の方(サポーター)と共に観察する「さくらプロジェクト」の取り組みを過去5年間毎年展開しています。昨年は20,000人がプロジェクトに参加し、当社には、過去5年にも及ぶ全国のきめ細かな地点における開花情報が蓄積されています。また、今年はこれら蓄積された膨大な量の過去のデータを、地点ごとに細分化し、分析することでピンポイントにおける予測に活用します。また、今後発表する予測に関しても、刻々と全国からリポートされる開花の実況を取り入れて予測を行います。

(2) 暖冬の統計データを中心に分析

桜の開花日を予測する際、過去の統計データは分析の基本データとなります。通常、30年～50年程度の長期間のデータを使用しますが、昨今の平均気温の上昇傾向により、長期の統計データでは、正確な予測が難しくなってきました。当社では各地点の予測にあたり、気温の上昇傾向にある20年の統計データを基本として、更に30年の統計データなど数パターンを分析し開花の予測をしています。

(3) 開花に影響する気温の推移と予測

＜休眠打破期 12月から2月前半の実況＞
桜の開花に大きく影響する「休眠打破」ですが、「休眠打破」は1日の平均気温が3度～9度くらいが、最も大きな効果があると考えています。当社では、今年はほぼ全国的に休眠打破は順調に行われていると分析。北日本や東日本、西日本の太平洋側で例年よりだいぶ冷え込みが弱まりましたが、桜の開花に大きな影響を与えるものではないと分析しています。

＜「成長期」 2月後半以降の予測＞
現在の予報では、これから3月にかけての気温は全国的に高めで経過する予想です。このため桜の開花は平年より早めの所が多くなります。ここ数年、桜の開花は平年より早い日が続いていますが、今年についても同様です。なお去年と比べると、西～東日本は去年より早め、北日本は記録的に早かった去年よりは遅い所が多くなりそうです。ただ、3月の気温によっては、今回の予想よりも開花日が前後する可能性もあります。なお当社では、各地の「休眠打破」の影響と今後の気温の影響を、地域毎に独自に求めて桜の開花日を予測しています。

(4) 全国600箇所の桜の名所への取材データ

ウェザーニューズでは、「さくらプロジェクト」のコンテンツとして、毎年、全国の桜の名所（約600ヶ所）の紹介を桜の開花の実況と併せて提供しています。この600ヶ所へは、毎日、電話などで現地へ独自に取材を行い最新の桜の開花状況を調査、携帯サイト、インターネットサイトに更新をしています。こうした全国の桜名所スポットの過去データを分析、この度の開花予測に反映しています。

～桜開花のメカニズム～

桜の開花は、翌春に咲く花のもととなる芽を夏に作り、秋から冬にかけて｢休眠｣に入ります。花の芽は、冬の間、十分低い気温にさらされることにより、休眠から覚める「休眠打破」の状態を経て、気温の上昇とともに生長し開花に至ります。前年の12月から2月前半にかけ十分気温が下がらないと、｢休眠｣から覚めにくく、桜の開花は遅れがちとなります。また、2月後半以降の気温が開花までの成長に深く関り、その時の気温が高く推移すると開花は早まり、低く推移すると遅くなります。