発行日 : 2009年03月19日

船舶の氷海航行計画“Ice Routeing”

サハリン2・プロジェクトのLNG船運航の支援を開始

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区 代表取締役社長:草開千仁)では、サハリン(ロシア)で大規模な石油・天然ガスの資源開発を行うサハリン2プロジェクトのLNG(液化天然ガス)対日本向け海上輸送において、氷海上の安全運航を支援するためのIce Routeing(氷海航行計画)の提供を開始しました。Ice Routeingは、サハリンに出入港するLNG船に多大な影響を与える海氷の状況を監視・予測するとともに、船舶の航海計画から航行可否判断、航行中の安全運航まで海運会社に向けて支援していきます。


サハリン2プロジェクトで年間に生産されるLNGの5割がLNG船を輸送手段として日本へ輸出されます。環境負荷の軽減に寄与するLNGはクリーンエネルギーとして注目されており、LNG輸送は将来増加の傾向をたどると言われています。一方で、サハリン沖は流氷の接岸や高波などの過酷な自然条件が伴い、海氷が覆うサハリン向けに船舶が航行するためには、荷役から航海に至るまで常に最新の情報を基にした最適な運航計画と管理が必要になります

Global Ice Center解析によるサハリン沖海氷情報;2009/3/19発表

Global Ice Center解析によるサハリン沖海氷情報
画像をクリックすると拡大画像が見られます

当社では、全世界の海氷を常時監視・予測することを目的としたグローバルアイスセンター(URL: http://weathernews.com/GIC/)の運営を昨年7月より開始し、極域における航海向けの海氷情報を海運会社に対し提供をしています。また、世界中の海氷の専門家とのより精度の高い海氷の分析・予測や、海運会社とのサービス向上に向けた取り組みも行っています。

Ice Routeing(氷海航行計画)は、当社の最適航路情報(OSR: Optimum Ship Routeing)の一部として実用化を目指しているPolar Routeing(北極海航路航行計画)の第一段階として開発されたサービスです。最新の海気象情報をもとにサハリン沿岸の海氷状況を常時監視・予測し、船舶の航海計画から航行状況の変化の管理、安全運航管理までを包括的に支援します。
衛星観測データをもとにした当社独自海氷予測モデルI-SEE-ENIGINEを用いて氷の分布・密度(・厚さ)などを解析・予測し、サハリン沿岸の海氷情報を1日1回更新し、航行中の船舶の安全運航をサポートします。また、Safety First Ruteing、Quickest Arrival Routeing等と併用することで、氷海以外の航行も含め、積み出し港から積み下ろし港までの最適な運航計画と管理を実現します。


当社では、サハリン2プロジェクトにおいてLNG輸送を担う海運会社に向けて、Ice Routeingを基にした支援を開始するとともに、今後も安全かつ経済的な氷海航行計画を必要とする北極海域、バルト海沿岸、渤海、セントローレンス湾などの氷海域を航行する船舶も同様に支援していきます。

サハリン2プロジェクトについて

ロシアのサハリンで大規模な石油・天然ガスの資源開発・生産・供給を行う大プロジェクト。サハリン周辺には、豊富な石油・天然ガス資源が存在しているが、流氷や高波などの過酷な自然条件下での生産と供給管理が課題とされていた。1994年に国際入札による開発を機に、ロイヤル・ダッチ・シェル、三井物産、三菱商事が参加する国家プロジェクトとなり、パイプラインや生産プラント、輸送設備が建設され、3月から運用が開始される。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。