発行日 : 2009年04月02日

ウェザーニューズ桜開花予測  的中率結果発表

全国1万4千人と実施した桜観察と気象観測の融合で、
誤差2日以内では的中率72%

~ 参加者が最も多かった東京では、86%の的中に成功 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は今年の桜シーズンにおける開花予測の結果をまとめ発表しました。開花予測の結果は、既に開花し、お花見シーズンを向かえている西日本、東日本(関東、東海)のエリアが対象で、先月の3月2日に発表した第1回桜開花予測から分析し、まとめたものです。


桜の開花は近年早くなっています。今年は九州北部で過去最も早く開花しました。特に3月に入ってからは、例年より暖かくなったり、真冬並みの寒気が入ったりと気象の予測が難しい月でもあり、桜の生長にも大きく影響しました。当社では、3月から利用者と共に、桜シーズンをより楽しんでいただくため、一本の桜を観察する「桜モニター」を実施しています。「桜モニター」は現在、全国で1万4千人おり、日々桜の観察リポートを送っています。当社では、これらの観察リポートに加え、通常の桜開花予測に用いる気温の予測モデルや、毎週桜の木のつぼみの状態を調べる“つぼみ調査”などを実施し、より正確な開花予測に挑みました。その結果、誤差2日以内における開花予測の的中率は対象地域の平均で71.5%、参加者が最も多かった東京都では85.8%と、通常4割程度と言われる気温のみを用いた桜開花予測モデルの的中率を大幅に上回ることに成功しました。

全国主要都市の予測結果

場所 予測対象本数 誤差2日以内 誤差1日以内 誤差1日未満
全国 12,358本 71.5% 58.3% 12.3%
東京都 2,532本 85.8% 72.3% 15.0%
大阪府 977本 91.3% 75.7% 18.4%
愛知県 786本 66.3% 51.0% 10.2%
高知県 74本 70.2% 44.6% 4.1%
福岡県 498本 57.1% 42.9% 7.1%

圧倒的な植物観察と気象観測が融合した新しいカタチの桜開花予測

より精度の高い開花予測を提供するには、今の桜の状況をより正確に知ることが何よりも重要になります。昨今は温暖化の影響により、過去データからの統計値だけでは、正確な予測が難しくなってきました。当社では従来の気温ベースの開花予測モデルに加え、全国の「桜モニター」の方とリアルタイムで情報発信が可能な携帯電話を用い、桜の観察をおこなうことで日本の桜の実況を正確に把握し、大幅な予測精度の向上に努めています。開花予測には、下記の3つの要素を中心的に、桜の専門家や気象の専門家など総勢30名のチームで全国の桜1万4千本をモニターし、予測をおこなっています。


(1) 膨大な観察データ

当社では、桜が“つぼみ”の段階から“開花”を経て“葉桜”になるまでの過程を、全国の「桜モニター」と共に観察する「さくらプロジェクト」の取り組みを過去5年間毎年実施しており、全国のきめ細かな地点における開花情報が蓄積されています。昨年は2万人が本プロジェクトに参加し、2万本の桜を観察しました。今年はこれら蓄積された膨大な量の過去データを、地点ごとに細分化し、全国1キロメッシュごとの予測が可能なシステムを用い、ピンポイントにおける予測に活用しています。また、今年参加した1万4千人による観察データも逐次計算システムに入れ、予測を実施しています。


(2) 毎週実施した“つぼみ調査”

全国の桜の生長状況をより細かく調べるため、毎週全国の「桜モニター」と“つぼみ調査”を行っています。つぼみ調査は、つぼみの状態を細かく把握することで、より精度の高い開花日を予報することができるもので、つぼみ調査におけるつぼみは“日当たり”、“枝”“生長度合い”などを基準に選び、7ランク別(まだ小さくて硬い、先が黄色に、先が緑に、全体が緑に、先がピンクに、頭が分かれ始めた、花びらが見えた)に写真と共に報告します。つぼみ調査は毎週定期的に実施し、細かい単位で桜のつぼみの状況を把握することができます。


つぼみの状態の写真画像 (1) つぼみの状態の写真画像 (2) つぼみの状態の写真画像 (3) つぼみの状態の写真画像 (4)
まだ小さくて硬い 先が黄色に 先が緑に 全体が緑に
つぼみの状態の写真画像 (5) つぼみの状態の写真画像 (6) つぼみの状態の写真画像 (7)
先がピンクに 頭が分かれ始めた 花びらが見えた

(3) 温暖化に対応した計算モデル

桜の開花日を予測する際、過去の統計データは分析の基本データとなります。通常、30年~50年程度の長期間のデータを使用しますが、昨今の平均気温の上昇傾向により、長期の統計データでは、正確な予測が難しくなってきました。当社では各地点の予測にあたり、気温の上昇傾向にある20年の統計データを基本として、更に30年の統計データなど数パターンを分析し、1万地点以上に及ぶ開花の予測を実施しています。

一本単位で桜を予測する試み

桜は一本一本違い、同じ品種、ましてや同じ敷地内にあっても開花日は異なります。これまでの桜の開花は地域ごとの発表が主流でしたが、本当の意味で、自分が知りたい場所の桜の開花を知ることはできませんでした。当社では開花時期が短い桜を、より多くの方に楽しんでいただくため、全国のお花見名所600箇所の他に、一般の方や学校、自治体、企業等、利用者が知りたい桜の開花予測を無料で提供しています。この取り組みは、各地の測候所閉鎖などにより桜観測地点が減少する中、従来から開花予測の対象地点となっていた標本木や観光名所だけでなく「自分が一番知りたい場所の桜の開花日を知りたい」などの、要望が多数寄せられて開始したもので、このサービスを開始した1年目は1万人、2年目は2万人以上の方が利用しました。今年からは、今まで要望の多かった学校や自治体単位での募集をおこない、それぞれ公園や学校の桜の開花予想を実施しました。

利用者と共に春を楽しむ企画「さくらプロジェクト」

当社では、お花見名所などの情報コンテンツを始め、一般の方と共に桜を観察する「さくらプロジェクト」を5年前から展開しています。観測した桜の情報は、携帯サイトとインターネットサイトにて随時公開され、誰でもサイト上で、各地の桜の魅力に触れることが出来ます。2007年からは、日本の病んだ桜を救い、守るきっかけを作る取り組みとして「桜レスキュー」を展開しています。「桜レスキュー」は、一般の方と共に桜の健康状態(テング巣病、キノコ、花数等)を調査する全国でも例の少ない試みです。これらの調査で収集されたデータはサイト上で公開された他、桜の健康回復を促すための治療方法も併せて紹介され、一人ひとりが桜を守るための取り組みが進められました。当社では、今後とも「さくらプロジェクト」を通し、開花時期の短い桜を楽しむため、来年度以降も一般の方や学校、自治体などの方々と共に、桜を観察する取り組みを実施すると共に、要望のある桜木に対しては、それぞれ予測にも応えていく予定です。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。