発行日 : 2009年06月26日

500台の花粉観測機と5000人の花粉症状を分析

2009年花粉シーズンにおける傾向まとめ発表

~ 今年は早期ピーク突入型で、昨年に比べ花粉飛散81%増 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、 2009年花粉シーズンにおいて一般の方と共に展開した「花粉プロジェクト」における花粉症及び、花粉飛散に関する結果をまとめ発表しました。
今年で5年目を向かえた花粉プロジェクトは、花粉症に悩む様々な年代の方々や企業、病院などの協力のもと、当社が独自に開発した花粉計測機「ポールンロボ」をそれぞれの地域に設置し、地域のきめ細かな花粉飛散量をはかると共に、その周辺エリアに住む花粉症の症状を「ポールン感測員」と調査することで、今まで分からなかった花粉について地域/個人レベルで解明を行う他、解析をもとに花粉症の方に役立つ新しいサービスを提供する試みです。2009年は「ポールンロボ」500台規模で実施し、これまで以上のきめ細かい地域レベルでの花粉観測を一般、企業、病院の方々と試みました。今回の発表には、「ポールンロボ」で計測された花粉飛散データに加え、花粉プロジェクトに協力した約5,000人の花粉症データ及び、5月20日?24日に実施した12,175人からの花粉シーズンに関する調査結果を加え分析を行っています。

2009年の花粉飛散傾向

2009年は全国的に昨年を上回る飛散になった所が多くなりました。県別でみると、昨年より平均で81%増の飛散が確認され、中でも中部地方の飛散数の多さが特徴的です。花粉は雄花の生産量が多い翌年は少なめ(=裏年)に、雄花の生産量が少ない翌年は多くなる(=表年)ことが知られており、2009年は表年にあたったことが、原因と考えられます。中でも中部地方は、雄花の成長に関係が深い、前年の夏の日照時間が多かったため、総飛散数の上位5県中4県が中部地方となり、たくさん飛散しました。例年よりも早く飛散し、飛散数が急激に増えたため、対策が間に合わず、症状も急激に悪化した患者も多かった様です。


順位 県別飛散数 前年比 本格飛散日数
1位 岐阜県(10,999個) 島根県(389%) 茨城県(84日)
2位 奈良県(10,070個) 香川県(344%) 群馬県(77日)
3位 長野県(9,543個) 和歌山県(331%) 静岡県(77日)
4位 静岡県(8,769個) 静岡県(273%) 東京都(76日)
5位 愛知県(8,590個) 石川県(272%) 千葉県(76日)
全国平均 5,934個 181.1% 65.8日
41位 長崎県(3,364個) 青森県(108%) 岩手県(56日)
42位 鳥取県(3,115個) 秋田県(105%) 鳥取県(54日)
43位 福岡県(2,914個) 福島県(103%) 秋田県(53日)
44位 徳島県(2,598個) 宮崎県(101%) 山形県(48日)
45位 佐賀県(1,972個) 富山県(98%) 青森県(24日)

(飛散数:ポールンロボが観測する花粉1個当たりのカウントを示す)
(本格飛散日数:花粉症の症状が出始める花粉飛散数30個/日を超える花粉飛散の日数)

各エリアの飛散傾向と症状の推移

北海道(シラカバ花粉) 北海道のグラフ
当初の予想通り、非常に多く飛散した昨年と比べると、今シーズンの飛散数は少なくなりました。ただ、短期間に集中して飛散したため、ピークに合わせて、症状も急激に悪化した様です。
シラカバ花粉も飛散量は前年の夏の気象条件に左右されます。08年の夏は、雄花の成長に関係が深い日照時間は、過去5年間で2番目と成長には良いコンディションでしたが、統計的に少ない年(裏年)にあたり、飛散数は昨年を下回る結果となりました。
東北北部 東北北部のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早く本格シーズンに突入しました。東北エリアはヒノキ林が少なく、飛散はスギ花粉がほとんどですが、飛散数は2つのピークに分かれています。これは3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったためです。4月に入り暖かさが戻ったタイミングで、再び飛散数が急増しました。このため、飛散数の増加に合わせて症状も2回に分かれて悪化した方が多くなりました。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたり、昨年比108%と昨年を上回る飛散数となり、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
東北南部 東北南部のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早く本格シーズンに突入しました。東北エリアはヒノキ林が少なく、飛散はスギ花粉がほとんどですが、飛散数は2つのピークに分かれています。これは3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったためです。4月に入り暖かさが戻ったタイミングで、再び飛散数が急増しました。このため、飛散数の増加に合わせて症状も2回に分かれて悪化した方が多くなりました。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたり、昨年比127%と昨年を上回る飛散数となり、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
北陸・長野 北陸・長野のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも1週間以上早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。早い飛散開始であったためか、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多くなりました。
ちょうどスギ花粉からヒノキ花粉に変わる3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったため、スギのピークとヒノキのピークがしっかり分かれ、症状の悪化のピークも大きく2回に分かれています。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたことや、08年の夏は晴れて暑い日が多かったことから、昨年比272%と昨年を大きく上回る飛散数となり、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
関東 関東のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。08年夏は雨の降る日が多く、花粉の成長には適さない気象条件でした。ただ、09年は花粉が表年にあたり、気象条件が悪いながらも、昨年比154%と結果として昨年を上回る飛散となりました。
また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、関東地方はこの春一番の日から、飛散が増え急に症状が悪化した方が増えました。時期的に早いタイミングでもあり、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多かった様です。
東海・山梨 東海・山梨のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、東海地方はこの春一番の日から、飛散が増え急に症状が悪化した方が増えました。時期的に早いタイミングでもあり、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多かった様です。
ちょうどスギ花粉からヒノキ花粉に変わる3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったため、スギのピークとヒノキのピークがしっかり分かれ、症状の悪化のピークも大きく2回に分かれています。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたことや、08年の夏は晴れて暑い日が多かったことから、昨年比201%と昨年を大きく上回る飛散数となり、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
近畿 近畿のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、近畿地方はこの春一番の日から、飛散が増え急に症状が悪化した方が増えました。時期的に早いタイミングでもあり、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多かった様です。
ちょうどスギ花粉からヒノキ花粉に変わる3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったため、スギのピークとヒノキのピークがしっかり分かれ、症状の悪化のピークも分かれています。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたこともあり、昨年比182%と昨年を大きく上回る飛散数となって、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
中国 中国のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、中国地方はこの春一番の日から、飛散が増え急に症状が悪化した方が増えました。時期的に早いタイミングでもあり、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多かった様です。
ちょうどスギ花粉からヒノキ花粉に変わる3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったため、スギのピークとヒノキのピークがしっかり分かれ、症状の悪化のピークも分かれています。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたこともあり、昨年比171%と昨年を大きく上回る飛散数となって、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
四国 四国のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、四国地方はこの春一番の日から、飛散が増え急に症状が悪化した方が増えました。時期的に早いタイミングでもあり、「しっかり対策する前に・・・」や、「不意打ちを受けた」という方が多かった様です。
ちょうどスギ花粉からヒノキ花粉に変わる3月の下旬に気温が下がる、いわゆる『寒の戻り』があったため、スギのピークとヒノキのピークがしっかり分かれ、症状の悪化のピークも分かれています。また、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたこともあり、昨年比175%と昨年を大きく上回る飛散数となって、花粉症患者にとって辛いシーズンになった様です。
九州北部 九州北部のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、九州北部はこの春一番の日から、一気に飛散数が増えたため、急に症状が悪化した方が増えました。
前年08年夏の気象条件では、雄花の成長にとって、好条件ではなかったものの、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたこともあり、昨年比108%と昨年をやや上回る飛散数となりました。
九州南部 九州南部のグラフ
この冬が暖冬であったため、花粉の飛び始めが早まり、昨シーズンよりも早くスギ花粉の本格シーズンに突入しました。また、2月13日に春一番が吹き、気温が急に上がり、風が強まりました。花粉は気温が高く、風が強い日に多く飛散する特徴がありますが、九州南部はこの春一番の日から、一気に飛散数が増えたため、急に症状が悪化した方が増えました。
前年08年夏の気象条件では、雄花の成長にとって、好条件ではなかったものの、今シーズンは表年(統計的に飛散が多い年)にあたっていたこともあり、昨年比101%とほぼ昨年並みの飛散数となりました。

2009年のみんな対策ランキング投票結果

場所 対策 票数
1位 飲み薬 5,815票
2位 マスク 56,01票
3位 目薬 4,273票
4位 点鼻薬 2,459票
5位 布団や洗濯の外干しを控える 1,443票
6位 鼻をかむ 1,294票
7位 目を洗う 1,009票
8位 空気清浄機 879票
9位 眼鏡・サングラス 861票
10位 うがい 693票

スギ花粉とヒノキ花粉で症状が変わる?

スギ花粉からヒノキ花粉に変わるタイミングで、花粉症の症状に変化が出ることが今年の調査で明らかになりました。症状の変化では“喉の痛み”、“肌のかゆみ”、“鼻詰まり”の3つパターンがあり、“喉の痛み”では、スギ花粉からヒノキ花粉に変わるタイミングで、喉がイガイガする、鼻や喉の奥に詰まったような違和感があったなどの報告がありました。また、“肌のかゆみ”では、スギ花粉時の肌のかゆみがヒノキ花粉時には悪化し、肌がヒリヒリするや、皮膚が赤くなるなどの報告があり、“鼻詰まり”では、鼻水から鼻詰まりに変わったなどの報告が多数ありました。このことから、同じ花粉でもスギとヒノキでは症状に変化が出る可能性があり、花粉症における対策もシーズンを通して同じ対策をするのではなく、花粉の種類が変わるタイミングで最適な対策をする必要があることが分かりました。

2010年の花粉飛散予想

・関東、東北、北海道(シラカバ)・・・・今年と比べ『同じ~やや多め』

・九州、四国、中国、近畿、東海、北陸・・・・今年と比べ『同じ~やや少なめ』

2010年の花粉の量は、09年の夏の天気(日照時間・最高気温・降水量)に左右されます。晴れる日が多いほど、また暑い日が多いほど、花粉を作る「雄花」の生産量が増加します。中でも日照時間と雄花の生産量の関係が深いことが分かっています。昨年の夏は中部以西で例年よりも夏の日照時間が長かったため、今シーズンはかなり多く飛散しました。09年の夏の傾向を見てみると、7月は梅雨前線を北へ押し上げる太平洋高気圧が一気に強くなる見込みで、梅雨明けは例年より早まり、晴れる日が多く、暑い夏になる予想です。このことから、今年の夏は雄花が多く作られ、結果的に花粉飛散が多くなると考えられます。ただ、一般的には、雄花の生産量が多い翌年は少なめ(=裏年)に、雄花の生産量が少ない翌年は多くなる(=表年)ことが知られており、来シーズンは本州では裏年にあたるエリアが多くなりそうです。以上のことを考慮し、中部以西では今シーズンと比較すると、雄花の成長条件は「同じ~やや悪い」関東や東北では「同じ~やや良い」となり、09年と比べて「同じ~やや多め」:北海道、東北、関東09年と比べて「同じ~やや少なめ」:東海、北陸、近畿、中国、四国、九州となる見込みです。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

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海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
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