発行日 : 2009年07月02日

ウェザーニューズ 夏の「ゲリラ雷雨傾向」発表

今夏も“ゲリラ雷雨”発生しやすく、東京都では120回程度発生する見込み

~ 全国的に“例年並み~多め”の発生で、8月下旬に多く起こりやすい傾向 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、突発的かつ局地的に発生し、社会生活に大きな被害をもたらす“ゲリラ雷雨”の今夏における発生傾向を発表しました。


“ゲリラ雷雨”の発生数は近年増加していると言われ、スケールの小さい気象現象を苦手とする従来の気象予測モデルでは捉えることができないのが特徴です。昨年は東京都で171回(*1)もの“ゲリラ雷雨”が発生し、各地で甚大な被害をもたらせました。今月中旬には梅雨シーズンも終わり、本格的な夏が始まります。防災意識が緩むこの時期は、いつ起こるか分からないシビアな気象に対して、準備していかなければいけない時期です。本発表は、本格的な“ゲリラ雷雨” シーズンが始まる夏を前に、“ゲリラ雷雨”に対する防災意識を高め、被害を軽減することを目的に発表しています。

“ゲリラ雷雨”発生傾向

急激に発達する“ゲリラ雷雨”は、大気の状態が不安定なときに、局地的な加熱や地上風の収束などによって上昇気流が形成され、そこで積乱雲が急発達することによって発生します。日本付近の盛夏(7〜9月)においては、太平洋高気圧の勢力が弱い、またはその勢力範囲が本州を覆っていない場合に、上空に寒気が入り、下層に暖湿な空気が流れ込むことによって、大気の状態が不安定になり、発生しやすくなります。
昨年の盛夏期は、特に8月を中心にして太平洋高気圧が非常に弱く、本州上空には寒気、下層には湿った空気が流れ込みやすく、大気の状態が不安定な状況が例年より長く継続し、記録的に多い“ゲリラ雷雨”の発生となりました。また、昨年の報告からは、“ゲリラ雷雨”発生の前兆として、生ぬるい風や冷たい風が強く吹く、せみの鳴き声が止む、ラジオにノイズが入る、などが多数報告ありました。
今年の盛夏期は、太平洋高気圧の勢力は概ね例年並と予想されています。ただ上空には寒気の流れ込む時期あり、大気の状態が不安定になる日数としては、概ね例年並?やや多いと見られています。よって、今年は記録的に多かった昨年と比較すると少なくなるものの、今年も8月下旬を中心に“ゲリラ雷雨”が起こりやすく、発生は例年並みからやや多めとなりそうです。発生の回数は昨年の60%から80%程度と見ています。


ゲリラ雷雨発生回数(7月〜9月前半予想)

  東京都 大阪府 愛知県 福岡県
発生回数 120回程度 80回程度 220回程度 330回程度

<参考情報>
昨年の”ゲリラ雷雨”発生回数(*1)

  8月前半 8月後半 9月前半  合計 
東京都 37回 84回 50回 171回
愛知県 33回 82回 48回 163回
大阪府 25回 32回 66回 123回
福岡県 71回 121回 101回 293回

雷の発生日数

  1990年〜2008年の平均発生日数       昨年の発生日数     
7月〜9月  年間  7月〜9月  年間 
東京 8日 14日 19日 25日
名古屋 11日 17日 14日 19日
大阪 10日 18日 18日 25日
福岡 14日 26日 19日 32日

全国の1時間降水量50ミリ以上の発生回数(1000地点あたりの年間発生数の平均)

1979年〜1988年 1989年〜1998年 1999年〜2008年
169回 184回 231回

(*1)“ゲリラ雷雨”発生回数は当社独自の算出方法でカウントしたもので、100万人以上の利用者からなる『10分天気予報』において“ザーザー”以上の強い雨(5段階中の2番目以上に強い雨)が報告された中で、当時、前線の影響による雷雨(事前予測ができていた雨雲)を除き、当日の朝の時点で予測できていなかった雷雨を“ゲリラ雷雨”として10kmメッシュごとにカウントしています。カウントした期間は昨年の8月1日から9月15日までで、時間は朝9時から夜21時までの12時間の間に、何回“ゲリラ雷雨”が発生したかを算出した数字になります。

“ゲリラ雷雨”傾向について

当社では、日々、長期気象予測サービスの実用化に向けて取り組みをおこなっていますが、現在の気象予測の技術水準では、予測精度の誤差が大きくなる場合があります。この度の“ゲリラ雷雨”の傾向発表にあたり、気象機関や長期予報の有識者の複数の見通しを元に、総合的に見解を出しています。本リリースにおける情報につきましては、発表日における最新の見解になります。今後の最新の見解は当社の携帯サイト(http://wni.jp)にてご確認ください。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
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