発行日 : 2009年08月04日
梅雨の時期に全国4,000人と測った酸性雨調査の結果発表
~ 首都圏エリアでは、比較的酸性度が低い結果に ~
株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、一年で一番雨が降る梅雨シーズンに一般の方と共に酸性雨の実態を調査した『酸性雨調査2009』に関する結果を発表しました。今年で5回目を迎える酸性雨調査は、携帯サイト「ウェザーニュース」内の「雨プロジェクト」にて実施した調査で、雨の降り始めなどのタイミングに、事前に配布したpH試験紙を使って雨の酸性度を計測する試みです。この試みは、梅雨時期に毎年(2005年から)実施しているもので、昨年までの計測で、“雨の降り始め”や“都市部”、“国道の近く”が特に酸性度が強いことが分かっています。今年は、一般の方4,000人と都市部(東京都を含む政令指定都市)の酸性度に注目し、6月23日~7月31日の間で計3回の調査を実施しました。
北海道~九州の都市で、やや酸性の雨(全国平均pH5.5)が観測されています。酸性度が高かったのは、岡山市や大阪市など、瀬戸内側の地域で、一方、酸性度が低い都市は順に札幌市、新潟市となりました。pH試験紙で高い酸性度を記録した岡山市、堺市、大阪市、神戸市、広島市などは、周囲に山があるため、工業地帯で発生した汚染物質がたまりやすい地形にあります。また、今回調査をおこなった時間帯は、工業地帯にあった汚染物質が流れ込みやすい南~南西の風があり、工業地帯の汚染物質が内陸へ流れ込みやすい風向きであったことが考えられます。酸性度が比較的に高かった静岡市では、周辺の工業地帯の影響以外にも、お茶が育つのに適した酸性の土壌が広がっていることも関係している可能性があります。また、工業地帯があるにも関わらず、比較的に酸性度が低かった関東エリア(東京、川崎市、千葉市、横浜市)では、東京湾を吹き抜ける強い南風が、汚染物質を遠くまで運んでいったと考えられます。梅雨前線が南下して雨が降る時は、南風が強まることが多く、雨が降る時の酸性度が低くなることが判明しました。今回調査をおこなった中で一番酸性度が高かった岡山市(pH5.36)では、直ちに生活環境へつながる深刻さでは無いですが、今後は大気汚染が進み、酸性度が高まると影響が出てくる可能性があり、引き続き、全国の参加者と酸性度を計測し、その推移を見守っていく必要があります。
都市 | 各都市の平均pH酸性度 | |
1位 | 岡山市 | 5.36 |
---|---|---|
2位 | 堺市 | 5.38 |
3位 | 仙台市 | 5.43 |
4位 | 静岡市 | 5.46 |
5位 | 大阪市 | 5.46 |
6位 | 広島市 | 5.47 |
7位 | 神戸市 | 5.48 |
8位 | 名古屋市 | 5.49 |
9位 | 東京都23区 | 5.52 |
10位 | さいたま市 | 5.53 |
11位 | 横浜市 | 5.56 |
12位 | 川崎市 | 5.56 |
13位 | 福岡市 | 5.58 |
14位 | 北九州市 | 5.60 |
15位 | 京都市 | 5.61 |
16位 | 浜松市 | 5.61 |
17位 | 千葉市 | 5.61 |
18位 | 新潟市 | 5.66 |
19位 | 札幌市 | 5.66 |
政令指定都市平均 | 5.33 |
酸性度が高くなると、動植物や建物など、様々なものに影響が出ると言われています。例えば、湖や沼などの水がpH6.0以下の酸性度になると、魚類の生息に深刻な影響が出ると言われ、またpH5以下では土壌中の微生物が生きられなく、植物の根の成長にも影響が現れます。pH3以下では人々が目に痛みを感じるようになります。
『酸性雨調査』は、酸性雨の実態調査を全国の一般の協力のもと行う取り組みです。参加者は、ウェザーニューズから“ミッション”として携帯メールが届いたタイミングで各自測定を実施します。今年は、この取り組みに、全国4,000名もの方が参加し、ウェザーニューズでは、全国から寄せられた調査結果をもとに解析を行いました。
ウェザーニューズでは、花粉・桜・梅雨など季節を通し、気象に関する様々な事象を利用者とともに感測しています。今後も、様々な事象に対して調査を利用者と共に実施していく予定です。
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