発行日 : 2009年08月14日

人の“五感”は未知なる可能性を秘めていることが明らかに

1~2時間先の天気予報は、人の感覚が気象予測を上回る!

~ 全国4万人のウェザーリポーターとともに“気象感覚”を検証した新しい試み ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、8月14日(金)、一年で一番気象予測が難しい梅雨の時期に、天気を予想する中で、人の感覚がどれほどの可能性を有しているのかを全国4万人のウェザーリポーター(※1)とともに追究した「雨プロジェクト」の結果を発表しました。これまで、コンピューターの気象予測モデルでは予測しにくい局地的な雨が降った際、事前にウェザーリポーターから「雨が降りそう」など、雨の降り出しを予感するコメントが多数届いていた事例があり、天気予報をする上で、人の感覚は新たな可能性を導いていました。そこで今回、人の感覚の可能性を追究するにあたり、ウェザーリポーターに体で感じた“今”の天気を「体感」として報告してもらう他、“これから”の天気を感じて予想する「五感予報」(※2)を報告してもらい、人の感覚でどこまで天気を予想できるかをウェザーリポーターとともに試みる取り組みを実施しました。ウェザーリポーターは“風の生暖かさ”や“雲の形”、“雲の色”、“過去に雨を降らせた空模様に似ている”など様々な感覚から雨の降り出しを予想し、当社の予報センターで、そのエリアの人達が、今後の天気をどのように予想しているかを分析しました。その結果、今回、雨雲レーダーでは捉えることができなかった局地的な雨を、人が感じて予想しているケースが多々あり、目先1~2時間の天気については、人の感覚が気象予測モデルでカバーできない雨を捉えられることがわかりました。現代人に忘れがちな自然に対する感覚をウェザーリポーター同士で共有した今回の「雨プロジェクト」は、人の「体感」と「五感予報」が未知なる可能性を秘めていることがわかりました。

雨雲レーダーでは捉えられなかった雨を予想できた事例

6月14日、ウェザーリポーターは雨雲レーダーが捉えることのできなかった局地的な雨を、事前に予想していたことが「五感予報」の報告でわかりました。14日の午後4時の段階で、関東南部では“グレー色の雲が広がっている”、“風が生暖かい”などの「体感」の報告と“雨が降りそう”という「五感予報」の報告が多数寄せられ、実際に午後5時半の段階で、関東南部のウェザーリポーターから弱い雨の降り出しの報告が届きました。しかし、同時刻の午後5時半の雨雲レーダーを見ると、関東南部では雨雲が確認できませんでした。ウェザーリポーターは雨雲レーダーで捉えることのできなかった雨を1時間半前から予想することができ、今後、ウェザーリポーターの「五感予報」の報告を収集してまとめることで、局地的な雨の降り出しにも対応できることがわかりました。

比較

「体感」で梅雨前線の活動を検証した事例

7月11日の事例

般的に、前線は性質の違う空気の境目で、梅雨前線の場合、前線を境に北側に肌寒い空気、南側に暖かく湿った空気が存在すると言われています。しかし、ウェザーリポーターの「体感」の報告から、必ずしも梅雨前線の南北で空気の質がはっきりと分かれるわけではないことがわかりました。実際に7月11日のウェザーリポーターの「体感」の報告を見ると、前線の北側でも蒸し暑さを感じる報告が届くなど、「体感」が混在していました。今回、梅雨前線の活動が活発で強い雨を降らせるパターンでは、前線の南北ではっきりと「体感」が分かれ、空気の質もはっきりと分かれていることが確認できましたが、7月11日の事例のように、前線の活動が弱い場合は、前線を境とした南北で、「体感」が混在し、空気の質がはっきり分かれないことがわかりました。全国のウェザーリポーターから寄せられた「体感」の報告により、これまでの定説には当てはまらないパターンでも、梅雨前線の真の姿を捉えることができました。

2009年「雨プロジェクト」のまとめ

今回の「雨プロジェクト」の結果、これまで収集することのできなかった人の「体感」と「五感予報」の報告をまとめることで、これまでのコンピューターの気象予測モデルでは捉えることの難しかった局地的な雨を予想できただけでなく、新たに梅雨前線の実体の一部を掴むことができました。ただ、今回の結果は、人の感覚の可能性を探る第一歩としての取り組みで、人の感覚は計り知れない可能性で満ち溢れていることがわかり、今後も天気予報をしていく中で、ウェザーリポーターの方と人の感覚の可能性を追究していきます。


※1)ウェザーリポーターは2006年から携帯サイト「ウェザーニュース」(URL:http://wni.jp)において始まった天気のコミュニティーで、日々身の周りで起こる天気や四季の移り変わりを携帯電話でリポートし、全国のウェザーリポーターとその情報を共有し、空や季節を楽しむコミュティーです。現在登録者は4万人を超え、一日5千通以上のリポートが届いています。ウェザーリポーターは携帯サイト「ウェザーニュース」の月額105円、315円会員の方ならば誰でも参加することができます。


※2)「五感予報」は、携帯電話でウェザーリポートを送る際の項目に新しく追加されたもので、これから先の天気がどのように変化するかを自分が感じたままに選択肢(雨は止みそう、弱まりそう/雨は降らなさそう/雨が降りそう/曇ってきそう/晴れてきそう/今と変化なさそう/わからない)から選んで送信します。ウェザーニューズでは、ウェザーリポーターから寄せられた「五感予報」をマッピング化し、そのエリアの人達が、今後どのような天気を予想しているかをモニタリングしています。

携帯サイト「ウェザーニュース」について

ドコモ、au、ソフトバンクの携帯電話各社でサービスを利用することができる気象情報サイトで、現在、全国で約160万人が登録。月額315円で、天気予報を市町村単位のピンポイントで1時間ごとにチェックできるほか、地震、台風、落雷などの「防災コンテンツ」、桜、花粉、紅葉などの「季節コンテンツ」、釣り、ゴルフなどの「レジャーコンテンツ」、雨降りアラーム、地震メールの「メールサービス」など、生活に密着した約85の様々なコンテンツを利用することができる。また、各コンテンツでは、“季節・天気を楽しむ”をテーマに、サイト利用者参加型の取り組みなども多数行っている。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。