発行日 : 2009年09月09日
~ The Latest news from WNI Global Ice Center ~
株式会社ウェザーニューズのグローバルアイスセンターは、今夏の北極海航路に関して、北東航路(ロシア側ルート)・北西航路(カナダ側ルート)共に完全な開通には至らなかったことを発表しました。既に北極海の海氷域面積は増加に転じているため、今後の両航路とも開通しない見込みです。北東航路については、完全な開通とは言えないものの9月上旬から29日まで、比較的通行しやすい状態でした。また、今年の最小海氷域面積は、記録的な減少となった2007年よりは多かったものの、地球温暖化による海氷の減少傾向を受けて、観測史上3番目の少なさとなりました。
今夏の北極海の気温は全体的に高く、海氷域面積も過去の平均より少ない水準にありました。両航路上の気温は、北東航路側では過去数年の平均よりやや低め、北西航路側では逆に高めの状況でした。これは、現在発生しているエルニーニョの年に統計的に見られる傾向と一致しています。しかし、今年の北極海の気圧配置は、海氷が観測史上最小を記録した2007年のように海氷を北極海から大西洋に押し出す風を作るような配置にはなりませんでした。このことが、海氷面積が少ないにも関わらず航路開通に至らなかった原因のひとつと考えられます。
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・北東航路側(ロシア側)
・北西航路側(カナダ側)
ウェザーニューズグローバルアイスセンターでは、独自開発の数値モデルI-SEE-ENGINEを用いたシミュレーションによって、北極海の海氷状況を予測してきました。それによって特に、風に強く影響を受ける海氷の流れ場の予測が良い精度で行えたことで、海氷・航路の状況変化の予測に役立てることができました。
ウェザーニューズグローバルアイスセンターでは、北極海の海氷と北極海航路の状況を監視し、週間レポートとしてまとめたものをウェブサイト上(http://weathernews.com/GIC/)で公開してきました。今夏の北極海についてはこれで終了となりますが、冬にはサハリン2からの天然ガス輸送などで注目されるオホーツク海をはじめ、世界の海氷域についての情報発信を行っていきます。
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