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Weekly Report

2009.08.04

GIC Weekly Report for the Arctic Region Vol.1
GICオペレーション開始、今年も両航路開通の可能性

今週のトピック

Topic of the Week Image

図1. 現在の北極海の海氷分布. 2008年同時期の海氷域を黄色の線で示す.(クリックで拡大)


今年のこれまでの海氷面積の変化は、観測史上初めて両航路が開通した昨年2008年と似た経緯を辿っています。一昨年2007年の夏に海氷は記録的な融解をし多年氷の量が減少していることがその理由の一つと考えられます。今年は北東航路側の融解が特に進んでおり、衛星画像からも2008年の同時期と比べてタイミル半島付近の海氷が少ないのが読み取れます。一方北西航路側はまだぎっしりと定着氷に覆われており、昨年に比べて融解の速度が遅い様です。これは北西航路側では春先の気温が昨年に比べて低め、北東航路側では昨年よりも高めだったことに起因していると思われます。
もしも融解が現在のペースで進めば、昨年に続いて観測史上2番目の両航路同時開通となる可能性も十分にありえます。特に北東航路は昨年は短期間開通したのみでしたが、今年は昨年よりも早く開通し長期間開いているかもしれません。今年はエルニーニョの発生している年であり、統計的な調査によるとエルニーニョの年には北西航路側の気温は高くなる傾向があり、北西航路側も開通の可能性がありそうです。しかしながら、海氷の動向は大気や海洋の循環と関連したものであり、継続的なモニターが必要です。ウェザーニューズのグローバルアイスセンターではモニターを続け、ウェブサイトを通じてウィークリーレポートを発信していきます。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2. 北極海の海氷面積.(クリックで拡大)

Ice Image

図3. 北極海の海氷衛星画像.(クリックで拡大)

長期的な海氷面積の動向を見てみると、夏季の海氷面積は過去10年に比べ明らかに減少していることが分かります。これは北西航路側、北東航路側の両方に共通して見られます。
北西航路側の海氷面積の変動は北東航路側に比べて大きいですが、9月に海氷面積が最小となる傾向はどちらも同じです。

北極海航路上の海氷状況


NW Passage  
Gulf of
St.Lawrence
Grand
Banks
Labrador
Sea
Davis
Strait
Baffin
Bay
Canadian
Arctic E
Canadian
Arctic W
Beaufort
region
Chukchi Bering
West
IF IF IF IF IF IF   IF IF IF
    Greenland
Sea SW
  Foxe
Basin
         
    IF              
NE Passage  
Bering
West
Chukchi East
Siberian
Laptev Kara
Sea N
Barents
Sea NE
Barents
Sea S
Barents
Sea NW
IF IF       IF IF IF
          Kara
Sea S
   
               
海氷密接度 航路状況
  7以上 砕氷船無しでは航行不能
  4以上6以下 一定ランク以上の耐氷船が航行可能
  3以下 耐氷船が航行可能
IF 海氷無し(Ice Free) 通常船舶が航行可能

表. 北東・北西両航路上の各海域における海氷状況.

北西航路、北東航路ともにまだ開通していません。
北西航路側ではフォックス湾やカナダ多島海西部に氷密接度8-10の海氷域があって、砕氷船なしでの航行は不可能です。デービス海峡はアイスフリー(海氷が無い状態)での航行が可能、またカナダ多島海東部もランカスター海峡からバロー岬に抜ける部分は海氷は殆どありません。ビューフォート海、チュクチ海も同様の状況です。
北東航路側はラプテフ海、シベリア海、カラ海が氷密接度8-10の海氷で閉ざされていますが、ベーリング海西部やチュクチ海はアイスフリーです。

Model Prediction

ウェザーニューズの海氷予測モデルI-SEEによると、8月上旬は急速な海氷の融解が起こり、中旬まで続きます。気温は平年に比べて高めで推移し、特に北東航路側での融解が顕著な予測です。

Model Prediction Image

図4. モデルによる北極海の海氷予測.

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