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Weekly Report

2010.08.26

GIC Weekly Report Vol.4
北西航路の開通状況は変わらず

今週のトピック

北極海の海氷は今週も減少を続けています。先週までのレポートで、北西航路上の海氷が今年は例年に比べて少ないため、開通に近い状況であることを伝えていましたが、現在でも航路上の数カ所に海氷が残っているため、開通状況としては先週から変わらず未開通となっています。
北東航路については、ラプテフ海西部の広い範囲に海氷が残っていたために開通の見通しが立たない状況でしたが、徐々に海氷域が後退し、航路上に残る氷はVilkitsky海峡周辺にまで縮小しています。
北極海の海氷域面積は今後も減少し、9月上旬頃には最小のピークを迎えます。今後1、2週間の海氷と航路状況の変化が注目されます。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

Figure 1a-1c. 北極海の海氷面積.(クリックで拡大)

Ice Image

Figure 2. 北極海の海氷衛星画像.(クリックで拡大)

Figure 1aは北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在、北極稀全体の海氷域面積はおよそ500万km2となっています。これは、観測史上2番目に少なかった2008年の同時期とほぼ同じ面積です。海氷域は現在も縮小傾向にあり、最近の一週間で20万km2ほど減少しています。西半球側の面積(Figure 1b)と東半球側の面積(Figure 1c)をそれぞれ見ると、西半球側での面積減少が緩やかであったことがわかります。
Figure 2は現在の北極海の海氷分布を示しています。図の右側、カナダ多島海中の海氷は大半が融けています。図の左側、東シベリア海やラプテフ海には広い範囲で海氷が残っていますが、これらも徐々に後退しています。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

Figure 3. 北東・北西両航路上の各海域における海氷状況.

Figure 3は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。両航路ともまだ開通には至っておらず全体の航路状況は先週から変わっていません。
今週の変化を衛星画像などから判断すると、北西航路は、全体的に融解が 進むものの、Viscount Melville海峡やBarrow海峡、そしてVictoria島−King William島間などに若干の海氷が残り、先週と比べて大きな変化が見られません。北東航路においては、ラプテフ海に広く分布していた海氷の融解が進 み、航路を妨げる海氷はVilkitsky海峡周辺に広がる部分のみとなりました。よって今後は、Vilkitsky海峡付近の海氷の融解が北東航路開通 のポイントになります。

モデルによる今後の予測

Figure 4はウェザーニューズで独自開発した海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。今後も北極海の海氷は減少を続けます。9月に入る頃には 北西航路上の海氷はかなり少ない状況になります。現在で航路を塞いでいる海氷の今後の融解状況次第では、2008年以来に北西航路が開通する可能性があり ます。北東航路側では、Severnaya Zemlya島の東に広がる海氷が9月に入っても残っている予想で、これが航路開通の妨げとなりそうです。

Model Prediction Image

Figure 4. モデルによる北極海の海氷予測.

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