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Weekly Report

2010.09.09

GIC Weekly Report Vol.6
北西航路開通

今週のトピック

先週のリポートでは、カナダ多島海の海氷の融解が例年以上に進んでおり、北極海北西航路の開通が数日中にも迫っていることをお知らせしました。その後、9月7日には航路を塞いでいた海氷が無くなったことが衛星画像で確認され、北西航路は2008年以来2年ぶりに開通しました。北西航路には南北のルートがありますが、今回開通したのは南側、カナダ多島海の南部を通るルートになります(Figure 1)。
北東航路側でも海氷の融解は進んでいます。現在は、Vilkitsky海峡およびその周辺において密接度の比較的低い海氷を残すのみとなっています。今後、これらの海氷が無くなったことが確認されれば、北西航路に続き、北東航路も開通となります。
9月上旬〜中旬は北極海の海氷域が最小となり、北極海航路が一年の内で最も通過しやすい時期になります。その後、9月下旬には再び海氷域の拡大が始まり、北極海航路は再び海氷で塞がれていきます。

Southern route of Northwestern passage

Figure 1. カナダ多島海の南部を通るルート

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

Figure 2a-2c. 北極海の海氷面積(クリックで拡大)

Ice Image

Figure 3. 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

Figure 2aは北極海の海氷域面積の推移を示しています。北極海の海氷域面積は現在およそ450万km2まで減少しています。この時期としては、2007年(410万km2)、2008年(440万km2)に続き観測史上3番目に少ない面積です。西半球側の面積(Figure 2b)と東半球側の面積(Figure  2c)をそれぞれ見ると、西半球側の海氷が今夏は少なく、240万km2と観測史上最小面積となった2008年(230万km2)と同レベルの面積となっています。東半球側の面積は210万km2、これまでで3番目に少ない面積です。
Figure 3は現在の北極海の海氷分布を示しています。図の右側、カナダ多島海中の海氷は、先週に引き続き大部分が融解し、融け残った箇所も密接度の薄い氷が広がっているところが多くなっています。図の左側、シベリア沿岸域では、Vilkitsky海峡周辺と東シベリア海に張り出しているほかに目立った海氷はありません。また、図の中心、北極点付近でも海氷の融解が進み、密接度が低くなっている箇所が見られます。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

Figure 4. 北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

Figure 4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。今週の変化を衛星画像などから判断すると、北西航路は、Peel湾の北側とBarrow海峡の西側に残っていた海氷が完全に融解したため、 Amundsen湾〜King William島南岸〜Peel湾〜Barrow海峡を通る、南側のルートで、通常船舶の航行が可能な状態となりました。 
一方で、カナダ多島海の北部を通る北ルートについては、Viscount Melville海峡などに海氷が残っているため、開通には至りませんでした。また、北東航路においては、Vilkitsky海峡とその周辺が氷で塞がれているため未開通ですが、残った海氷は少なく、開通が近い状況です。今後海峡の海氷が無くなったことが確認されれば、北東航路も開通となります。

モデルによる今後の予測

Figure 5はウェザーニューズで独自開発した海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。北極海の海氷域は現在がほぼ最小の状態にあるため、面積の変化率は小さく、海氷域の変化は緩やかになっています。今月下旬から海氷域は拡大に転じるものと予想されます。結氷は北極点の周辺から始まり、開水面が再び海氷で覆われていきます。その御、北極海航路周辺でも結氷が始まり、来月までには再び海氷で閉ざされる見通しです。

Model Prediction Image

Figure 5. モデルによる北極海の海氷予測

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