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Weekly Report

2010.09.16

GIC Weekly Report Vol.7
北西航路は引き続き開通、北東航路も開通間近

今週のトピック

北西航路は、10日までは開通が維持されていましたが(Figure 1)、11日頃に疎らな海氷がBarrow海峡に広がったため、一時的に未開通となりました。その後海氷は後退し、現在は再び航路が開けた状態に戻っています。今後数日、海峡付近を吹く東風の影響で海氷は航路から離れていきます。そのため、開通状態は維持される見込みですが、その後は西風に変わり、また海氷の結氷も徐々に増えてくるため、航路は閉ざされていきます。
北東航路側では、開通を妨げているVilkitsky海峡の海氷が少なくなり、開通が近いです。今後1,2週間の内に完全開通が確認される可能性もあります。
北極海の夏のピークは過ぎつつあり、海氷は冬に向けて拡大を始めます。今夏の海氷域面積の最小値は観測史上三番目の少なさとなる見通しです。

Ice distribution in the Barrow Strait

Figure 1.

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

Figure 2a-2c. 北極海の海氷面積(クリックで拡大)

Ice Image

Figure 3. 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

Figure 2aは北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在の面積は先週からほぼ変わらず、およそ450万km2です。これは、2007年(400万km2)、2008年(440万km2)に続き観測史上3番目に少ない面積です。西半球側の面積は240万km2で、9月9日には観測史上最小とみられるレベルまで減少しています(Figure 2b)。また、東半球側の面積(Figure 2c)は210万km2です。
Figure 3は現在の北極海の海氷分布を示しています。先週に比べて、カナダ多島海(図の右側)では海氷がわずかに増加しています。シベリア沿岸域(図の左側)では依然融解が進み、海氷はVilkitsky海峡付近と東シベリア海を残すのみとなっています。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

Figure 4. 北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

Figure 4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。
北西航路は南ルートが開通していますが、カナダ多島海のBarrow海峡にある疎らな海氷が航路を狭めています。付近の風向きによっては航路上に海氷がかかる可能性もあり、航行には注意が必要です。北西航路の北ルートについては、Viscount Melville海峡などに海氷が残っているため、開通には至っていません。
北東航路では、Vilkitsky海峡周辺での融解が進み、現在は疎らな海氷を残すのみとなっていますが、開通には至っていません。

モデルによる今後の予測

Figure 5はウェザーニューズで独自開発した海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。北極海の海氷域は現在ほぼ最小の状態にありますが、今後は高緯度域から徐々に結氷が進み、拡大していくことが予想されています。
北西航路について見ると、Barrow海峡にある海氷の今後の動きが航路の開通状況を左右するポイントになります。17日頃までは海峡周辺で東風が卓越し、海氷は航路から遠ざかる向きに流れるため、開通は維持されそうですが、その後風は西向きに変わり、航路は再び海氷で閉ざされていく見通しです。
北東航路周辺の海氷は、今後1週間程度は引き続き減少し、航路が開通する可能性があります。今月末までにはシベリア沿岸域の一部で結氷が始まり、北極海は再び海氷で覆われていきます。

Model Prediction Image

Figure 5. モデルによる北極海の海氷予測

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