• Top
  • About us
  • Data
  • News&Repot
  • Contact Us

Weekly Report

2011.08.08


2011 GIC Weekly Report Vol.1
「2011年の北極海レポート開始、今年も両航路開通の可能性」

今週のトピック

今年も北極海は短い夏を迎え、気温の上昇と共に海氷の融解が進んでいます。特に今年は、ラプテフ海の北部の海氷がこれまでに無いペースで減少しています。この海域は、例年であれば9月まで海氷が航路上に残り、北東航路の開通を妨げていたところです。そこが早い時期に融解したことで、北東航路は8月5日というこれまでで最も早い日に開通しました。
 一方、北西航路においても海氷の融解が進み、南周りのルートが今月中にも開通する可能性があります。北東航路に続き北西航路も開通すれば、昨年から2年連続で両航路が開通することになります。
 ウェザーニューズ グローバルアイスセンターでは、今週より北極海の夏の海氷と北極海航路の開通についてのレポートを発信していきます。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

Fig. 1: 北極海の海氷域面積.(クリックで拡大)

Ice Image

Fig 2: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)e

Figure 1は北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在、北極海全体の海氷域面積はおよそ530万となっています。これは、観測史上最小となった2007年(同時期で520万)に次ぎ、2番目に少ない面積です。海氷域は現在も縮小傾向にあり、最近の一週間で60万ほど減少しています。西半球側の面積(Figure 1(b))と東半球側の面積(Figure 1(c))をそれぞれ見ると、西半球側で290万、東半球側で240万と、両側とも過去2番目に少ない面積になっています。先週からの面積の減少は、西半球側でおよそ40万、東半球側でおよそ20万と西半球側で顕著になっています。
 Figure 2は現在の海氷分布を示しています。東半球側は、東シベリア海に海氷が張り出していますが、シベリア大陸沿岸付近の氷はほとんど融解している状況です。西半球側は、カナダ多島海中の氷の融解が進み疎らになってきています。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

Fig. 3: Sea Ice Conditions along Northern/Southern Passages

Figure 3は東西の北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。北東航路は8月5日というこれまでで最も早い日に開通し、現在も開通している状態が続いています。
一方、北西航路においても南側のルートで氷の融解が進んでおり、去年と同様に開通する可能性が高まっています。Larsen湾東側〜Barrow海峡のルートでは海氷密接度が2/10まで減少しており、その他の所ではほとんど氷が無い状況です。北西航路の北側のルートでは、Viscount Melville海峡からLarsen湾にかけて氷が残っているため、開通には至っていません。

モデルによる今後の予測

Figure 4は、ウェザーニューズの海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。北極海の海氷は今後も全体的に減少し続けます。北東航路側では、東シベリア海に張り出している海氷が後退するため、航行可能な海域が更に広がりそうです。また、Vilkitsky海峡でも海氷が無い状態が維持されますが、海峡の北にあるSevernaya Zemlya島の北部沿岸には海氷が残ります。北西航路側では、Larsen湾やBarrow海峡の海氷の融解が進むことが予想されていて、今月下旬頃に航路が開通する可能性があります。

Model Prediction Image

Fig 4: Sea Ice Prediction for the Arctic based on model data

Top of page