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Weekly Report

2011.08.16


2011 GIC Weekly Report Vol.2
「北東航路開通続く」

今週のトピック

今週も北東航路は開通した状態が続いています。今夏、北東航路が観測史上で最も早く開通した大きな原因は、ラプテフ海の西部の海氷が早い時期に減少したことです。
図1はVilkitsky海峡周辺の衛星画像で、最近の様子(2011年8月13日)と昨年の同時期(2010年8月11日)を比較しています。図の赤い部分が海氷です。昨年は海峡の東側(ラプテフ海西部)に海氷が広がっているのが見えますが、今年は同じ海域には既に海氷がありません。現在、北東航路の付近にある海氷は、図のVilkitsky海峡の北西にある程度で、これが航路を塞ぐ可能性は低いものと考えられます。北西航路でも海氷の融解が進み、こちらも近いうちに開通する可能性が高まっています。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2: 北極海の海氷域面積.(クリックで拡大)

Ice Image

図3: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

図2は北極海の海氷域面積を示しています。現在、北極海全体の面積はおよそ500万㎢で、これは観測史上最小となった2007年(同時期480万㎢)に次ぐ2番目に少ない面積です。海氷域は現在も縮小傾向にあり、先週から30万㎢ほど減少しています。西半球側の面積(図2.b)と東半球側の面積(図2.c)をそれぞれ見てみると、東半球側での減少が目立っており、西半球側は面積の変化はほとんどありません。
図3は現在の海氷分布を示しています。東半球側は、東シベリア海やラプテフ海の氷の融解が進んでいるのに対して、西半球側は、カナダ多島海の多年氷が融けて散らばっている状況です。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

図4:北東航路・北西航路上の各海域における海氷状況.

図4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。北東航路に引き続き、北西航路も開通する可能性が高まっています。
今週の変化を衛星画像などから判断すると、北東航路では東シベリア海やVilkitsky海峡で氷の融解が進み、先週に引き続き開通している状況です。北西航路の南ルートでは、Larsen湾の氷の融解が進み,海氷密接度は1/10まで減少しました。そのため、Amundsen湾- Larsen 湾-Barrow海峡のルートで開通間近となっています。北側ルートはViscount Melville海峡の氷の融解が進むものの、以前として砕氷船なしでは航行できない状況が続き、開通にはいたっていません。

モデルによる今後の予測

図5は、ウェザーニューズの海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。今月下旬にかけて北極海の海氷は減少を続けます。北東航路側では、東シベリア海に張り出している海氷が後退するため、航行可能な海域が更に広がりそうです。また、Vilkitsky海峡でも海氷が無い状態が維持されますが、海峡の北にあるSevernaya Zemlyaの北部沿岸には海氷が残ります。北西航路側では、Larsen湾やBarrow海峡の海氷の融解が進むことが予想されていて、今月下旬頃に航路が開通する可能性があります。

Model Prediction Image

図5: モデルによる北極海の海氷予測.

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