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Weekly Report

2011.08.30


2011 GIC Weekly Report Vol.4
北東航路の商業航海始まる

今週のトピック

今夏、これまでで最も早く開通した北東航路は、現在も海氷の開けた状態が続いています。そして今月末には、いよいよ日本の船がこの北東航路を通ることになりました。これまで北東航路では欧州の船が商業航海を行った例がありますが、日本の商業船舶が航行するのは初となります。ウェザーニューズ Global Ice Centerでは、海氷状況や航路状況を提供し、この歴史的航海のサポートを行います。
 図1は最新の北極海の天気図になります。この一週間、北東航路では、10〜20kt*の風が吹き、Barents海や東シベリア海で1.5〜2.0mのうねりが発生するところもありますが、全般的に比較的穏やかな天候となる見込みです。また、海氷によって直ちに航路が塞がれることもなく、比較的航行のしやすい状況と言えそうです。

Vilkitsky

図1: 北極海北東航路周辺における、2011年8月30日0時(UTC)の天気図(クリックで拡大)

北極海の海氷面積は今後も減少を続け、9月中旬頃には今年の最少となります。今年の海氷は、これまで最も面積が少なくなった2007年と同じくらいのペースで減少しており、今後1、2週間の状況次第では、史上最小となる可能性も残されています。
*1kt(ノット)≒0.5m/s

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2: (a)-2(c) (a)北極海, (b)西半球北極海, (c)東半球北極海の海氷域面積(クリックで拡大)

Ice Image

図3: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

図2は北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在、北極海全体の面積はおよそ440万km2で、これは観測史上最少になった2007年(同時期 430 万km2)に次ぐ2番目に少ない面積です。海氷域は現在も縮小傾向にあり、先週から30万km2ほど減少しています。西半球側の面積(図2b)と東半球側の面 積(図2c)をそれぞれ見ると、西半球側の海氷面積は250万km2と、2008年(同時期240万km2)、2010年(250万km2)と同レベルの面積となっています。東半球側の面積は190万km2と、2007年(同時期170万km2)に次いで2番目に少ない面積です。
図3は現在の北極海の海氷分布を示しています。図の右側、カナダ多島海中の海氷は、先週に引き続き大部分が融解し、融け残った箇所も密接度の薄い氷が広がっているところが多くなっています。また、氷は北極点を中心として西回りに移動していており、Beaufort 海の氷が南西方向へ流れています。図の左側、シベリア沿岸域では、先週に引き続きEast Siberian海やLaptev海での融解が進んでいます。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

図4北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

図4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。航路状況は先週から大きく変わらず、北東航路と北西航路の南側のルートがそれぞれ開通している状況です。
 北東航路のEast Siberian海や、北西航路のLarsen湾では、氷の融解が進み、ほぼ氷がない状況です。この一週間は、氷によって航路を塞がれる可能性はほとんどありません。北西側の北側のルートでは、Viscount Melville海峡に残っている氷の融解が進んでいるものの、厚い氷が道をふさいでいるため、開通には至っていません。このViscount Melville海峡の氷は、例年でもほとんど解けたことがありません。北側のルート開通は、この氷の融解状況がポイントとなります。

モデルによる今後の予測

図5はウェザーニューズの海氷予測モデル「I-SEE-Engine」による、今後の北極海の海氷予測結果を示しています。今後の海氷の変化を見ると、East Siberian海やBeaufort海に張り出した海氷が徐々に後退していくことが予測されています。北極海の海氷は9月中頃まで減少を続け、今年の最小を記録した後に、再び拡大していく見通しです。

Model Prediction Image

図5: モデルによる北極海の海氷予測.

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