• Top
  • About us
  • Data
  • News&Repot
  • Contact Us

Weekly Report

2011.09.06


2011 GIC Weekly Report Vol.5
北極海の海氷はまもなく増加に転じる見込み

今週のトピック

先週のリポートで、日本の商船による北東航路の商業航海が開始したことを報告しました。現在も穏やかな天候の中、航行は続いており、あと一週間ほどで北極海を抜ける見込みです。商業航海が活発になりつつある北極海ですが、今後の海氷の動向はどうなるのでしょうか?
 8月は北極海の中心に高気圧、沿岸に低気圧が分布していたため、全体的に海氷が流動し、融解しやすくなっていました。しかし、9月は海氷が流動しにくい気圧配置となりそうです。
図1は2007年から2011年の海氷面積の推移を示しています。2011年の点線の部分がGlobal Ice Center独自の予測モデル「I-SEE-Engine」によって算出された海氷面積の予測値です。この図から2011年は今週が最少面積であることがわかります。2011年は一時2007年度を下回る海氷面積となり、その後はほぼ同じ面積で推移していましたが、今後2007年を下回る面積になる可能性は低いと言えます。しかし、海氷はあまり流動しないため、北東・北西航路とも、しばらくは氷で塞がれることなく航行可能な状態が続きそうです。

Vilkitsky

図1:2007〜2011年の海氷面積の推移。実線が計測値、点線が予測値を表す。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2: (a)-(c) (a)北極海, (b)西半球北極海, (c)東半球北極海の海氷域面積(クリックで拡大)

Ice Image

図3: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

 図2は北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在、北極海全体の面積はおよそ420万km2となっており、史上最少の面積を記録した2007年(同時期419万km2)とほぼ同じ面積となっています。海氷域は現在も縮小傾向にあり、先週から20万km2ほど減少しています。西半球側の面積(図 2b)と東半球側の面積(図2c)をそれぞれ見ると、西半球側の海氷面積は250万km2となっており、先週からほとんど変化していません。一方、東半球側の面積は170万km2と、2007年(同時期160万km2)に次いで2番目に少ない面積です。

図3は現在の北極海の海氷分布を示しています。図の右側、カナダ多島海では、Viscount Melvile海峡の氷は融解が進むものの、他の海氷の面積の分布に大きな変化はありません。図の左側、シベリア沿岸域では、先週に引き続き東シベリア海やラプテフ海での融解が進んでいます。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

図4北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

図4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。航路状況は先週から大きく変わらず、北東航路と北西航路の南側のルートがそれぞれ開通している状況です。北西側の北側ルートでは、Viscount Melville海峡のOld Iceの融解が進みましたが、砕氷船なしでは航行できない状況が続いています。

モデルによる今後の予測

図5は、ウェザーニューズの海氷予測モデル「I-SEE-Engine」による、今後の北極海の海氷予測結果を示しています。今後の海氷変化をみると、来週以降East Siberian 海の氷が徐々に張り出していくことが予想されます。北極海の海氷は9月上旬現在まで減少を続け、その後停滞・増加に転じていく見通しです。

Model Prediction Image

図5: モデルによる北極海の海氷予測.

Top of page