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Weekly Report

2011.09.13


2011 GIC Weekly Report Vol.6
海氷域は再び拡大へ

今週のトピック

先週のレポートで、北極海の海氷域面積が近日中に減少から増加に転じる見込みであるということをお伝えしました。図1は、その後の現在までの面積変化を示しています。面積の減少率は先週の予想(図中の点線)よりも大きく、海氷域は観測史上最小を記録した2007年に迫る範囲まで縮小しました。
しかし、9日を境に海氷面積は増加傾向を示していますので、今期はこれ以上に減少する可能性は低いものと予想されます。このまま海氷面積の増加が続けば、今年の最小面積は9日の397万km2となり、観測史上2番目の小ささということになります。
北極海航路は現在も北東・北西共に開通した状況が続いていますが、今後の海氷の増加に伴って、航路上に徐々に海氷が広がって行きます。9月下旬から10月上旬頃には、北極海航路は再び海氷で閉ざされる見通しです。

Vilkitsky

図1:2007〜2011年の海氷面積の推移。実線が計測値、点線が予測値を表す。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2: (a)-(c) (a)北極海, (b)西半球北極海, (c)東半球北極海の海氷域面積(クリックで拡大)

Ice Image

図3: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

図2は北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在、北極海全体の面積は9日の397万km2をピークに増加に転じており、11日現在はおよそ400万km2と史上最少の面積を記録した2007年 (同時期400万km2)とほぼ同じ面積となっています。西半球側の面積(図 2b)と東半球側の面 積(図2c)をそれぞれ見ると、西半球側の海氷面積は、8日に今年度の最少面積230万km2となり、2010年度の226万km2に次いで2番目に小さい面積となりました。また、東半球側の面積も、9日に今年度の最少面積165万km2となり、2007年(同時期150万km2)に次いで2番目に小さい面積となりました。
図3は現在の北極海の海氷分布を示しています。図の左側のシベリア沿岸域では、先週までは縮小傾向にありましが、ここ2,3日で海氷が張り出していることがわかります。図の右側のカナダ多島海においては、先週からの変化は特にありません。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

図4北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

図4は北極海北東航路(図中左、シベリア側)・北西航路(図中右、カナダ側)の通行可能性を示しています。海氷は増加する傾向にありますが、航路状況は先週から大きく変わらず、北東航路と北西航路の南ルートがそれぞれ開通している状況が続いています。北西航路の北ルートでは、Viscount Melville海峡の海氷密接度が1/10~3/10まで減少したことで、航路ステータスが赤(航行に砕氷船が必要な氷況)から黄(耐氷性能があれば航行可能な氷況)に変化しました。しかし、完全な開通には至っていません。

モデルによる今後の予測

図5はウェザーニューズの海氷予測モデル"I-SEE-Engine"の予測結果です。北極海の海氷域は現在ほぼ最小の状態にありますが、今後は北極点周辺から徐々に結氷が進み、拡大していくことが予想されています。北東航路周辺の海氷はしばらく開通した状況が続きますが、今月末までにはシベリア沿岸域の一部で結氷が始まり、北極海は再び海氷で覆われていきます。

Model Prediction Image

図5: モデルによる北極海の海氷予測.

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