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Weekly Report

2011.09.27


2011 GIC Weekly Report Vol.8
歴史的なPolar Routeingが無事に終了

今週のトピック

先月31日にムルマンスクを出港し、北極海を航行した三光汽船の貨物船「SANKO Odyssey」は、22日に中国の目的港に着港し、日本の船会社が所有する船としては初となる北極海航路の航海を無事に終了しました。今回の航行距離は約6,600海里で、スエズ運河を経由する場合の見込み距離(約12,800海里)に比べて大幅な距離削減を実現しました。図1は、今回航行した航路です。図中の赤で示される密接な海氷域に入ることなく北東航路を航行できたことがわかります。
北極海の海氷は既に拡大期に入っており、北極海航路の周辺にも海氷が広がって来ています。10月上旬までには、両航路共に海氷で閉ざされる見通しです。

Vilkitsky図1: SANKO Odysseyによる、北極海北東航路の航行ルート。密接な海氷域を赤で示す。

海氷域の分布状況

Sea Ice Extent in the Arctic

 Arctic
 Western Arctic
 Eastern Arctic

図2: (a)-(c) (a)北極海, (b)西半球北極海, (c)東半球北極海の海氷域面積(クリックで拡大)

Ice Image

図3: 北極海の海氷衛星画像(クリックで拡大)

図2は、北極海の海氷域面積の推移を示しています。今月9日に最小となった後、面積は増加に転じ、26日時点の面積は9日の面積よりも46万km2大きく、約444万km2となっています。北極海西部(図2b)と東部(図2c)をそれぞれ見ても、海氷域は拡大期に入ったことがわかります。

図3は、衛星画像による北極海の最新の海氷分布です。東シベリア海やカナダ多島海で海氷が顕著に増加していることが確認できます。

北極海航路上の海氷状況


Sea Ice Conditions Image

図4北東・北西両航路上の各海域における海氷状況

図4は、北極海北東航路(シベリア側、図中左)と北西航路(カナダ側、図中右)の現在の海氷による航行可否状況を示しています。現在は、北東航路と北西航路の南ルートが開通状態を維持していますが、北極海が結氷期に入った影響で、航路周辺には徐々に海氷が広がってきています。北西航路のLarsen湾は先週の予想に反して海氷域の拡大が遅く、航路の閉鎖が遅れています。北東航路では東シベリア海のNovosibirsk諸島の北部に海氷が迫って来ており、航路を徐々に狭めています。

モデルによる今後の予測

図5は、ウェザーニューズの海氷予測モデル「I-SEE-Engine」による北極海の海氷の予測結果です。北極海の海氷は拡大速度を増し、北極海の沿岸域に広がって行きます。特に、東シベリア海(図中左下)への海氷域の張り出しが顕著に見られます。この張り出した部分が10月始め頃にNovosibirsk諸島に達し、その後数日でシベリア沿岸に至った時点で、北東航路は閉鎖となる見込みです。また、北西航路については、図では見づらいものの、カナダ多島海中に密接度の低い海氷が広がり、こちらも10月始め頃には航路を塞ぐものと予想されます。

Model Prediction Image

図5: モデルによる北極海の海氷予測.

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