2011.10.11
先週のリポートで、東シベリア海北部の海氷がNovosivirsk諸島北岸に迫り、10月8日頃に北極海北東航路を塞ぐ見込みであることをお伝えしました。実際には、拡大した海氷の先端が7日には諸島北岸に達し、それをもって北東航路は閉鎖しました。北東航路の開通期間は約2ヶ月間で、過去最長となりました(図1)。
また、北西航路上にも海氷が広がったことで、10日に航路が閉鎖されました。北西航路の開通期間は約50日で、こちらも過去最長の開通期間になっています。
北極海の海氷は今後も冬に向かって拡大し、北極海航路が再び開通するのは来夏以降となります。今週で、今年の北極海のWeekly Reportを終了します。
図2(a)は北極海の海氷域面積の推移を示しています。現在の面積は約499万km2で、9月9日に記録した今夏の最小面積から2割程度増加しています。拡大する速度も増してきており、この1週間ではおよそ48万km2ほどの増加です。図2(b)の西半球側、図2(c)の東半球側の面積推移を見ても、海氷が着実に拡大していることがわかります。
図3は衛星画像による北極海の海氷分布です。拡大した流氷が、East Siberian海やBeaufort海の島々や沿岸に迫って来ているのがわかります。また、カナダ多島海中でも結氷が進んでいます。
図4北東・北西両航路上の各海域における海氷状況
図4は北極海航路の開通状態を示しています。図の左半分が北東航路(シベリア側)、右半分が北西航路(カナダ側)です。北東航路は、Novosivirsk諸島の北岸まで海氷が拡大したことで、海氷域に入らずに船舶が航行することが不可能な状態になりました。北西航路では、カナダ多島海のLarsen湾やBarrow海峡で結氷が進み、北西航路を塞ぎました。
図5は、ウェザーニューズの海氷予測モデル"I-SEE-Engine"による北極海の海氷の予測結果です。北極海の海氷は拡大を続け、10月中頃にはシベリア沿岸でも結氷が始まって行きます。海氷で閉ざされた北極海航路が今後開かれる可能性は低く、今後更に厚い氷で覆われて行きます。
図5: モデルによる北極海の海氷予測.